Feedback Sheet 「地震による被害例」
現象
地震で配管が破裂して漏水した。
埋設されている給水配管が破裂・破損する。
対策
● 給水配管の埋設をやめて、地上で露出配管させる。
素人の方が考えても、土の中に鉄製の配管が埋まっていたら、錆びて
破裂や損傷すると思われるはずです。
しかしながら、この施工がひと昔前までは一般的でした。
当然、鉄のままですと直ぐに錆びるので、メッキ加工された鉄管に、防腐
テープを巻いた状態で埋設されているはずですが、テープの巻きが不十
分だったり、テープが巻いていなかったりが多々あります。
私が今まで現場で見てきた埋設されている鉄管は、ほぼ100%腐食し
ており、例えて言うと、海の中のサンゴ礁に沈んでいる戦艦の大砲のよ
うです。
尚、敷地の近くに電車が通っていると、「電触(でんしょく)」と
言って、金属をさらに腐食させる傾向があります。これは電車を走らせる
ためのアース電気が、土中の迷走電流となり金属を腐食させます。
<写真09>と<写真10>は、給水メーターから、給水管を強制的に地
上に向けて配管している状況です。
この先の配管も、外壁を這って「露出」させて配管し、屋内に引き込みます。
このようにしておけば、見た目はあまり良くないかもしれませんが、万が一
配管に不具合が発生したり、経年劣化で交換する際に、とても有効なの
です。
土に埋設してある配管の怖いところは、もし土のなかで微量に水が漏れ
ていても分からないことです。確認する方法として、その建物で誰も水を
使っていない時間に、ご自宅の給水メーターを覗いてみてください。
メーターの針がゆっくりとクルクルとゆっくりと回っていたら、水漏れです。
最近の水道メーターは敏感ですから、わずかな使用水でもメーターが反
応するので、不安な方は一度確認をお勧めします。
● 埋設配管は、丈夫な「VD管」を使う。
給水管を埋設する場合は、<写真08>の、埋設用の最強の「VD管」を
使います。
内側から、塩ビ管→鉄管→塩ビ被覆管と3層構造になっています。
これなら見た目でも錆びそうにありません。
また、基本構造は鉄管なので、外部から相当な力が加わっても、損傷す
るおそれは少ないです。
<写真07>は、耐衝撃性のある「HIVP管」です。ただのVP管より当然
強いですが、塩ビ製なので「VD管」よりは弱いです。
給水管も、排水管も後々のメンテナンスのことを考えて、材料の選定および配管をしなければいけません。壁の中を配管する際は、点検口を設置する必要になることもあります。何れにせよ、埋設されている給水管は、今回の地震で漏水していないか?を上記に書いた方法で確認することをお勧めします。見えないところで、水が延々と漏っていることも考えられますので・・・
<写真01>地震により配管が断裂した状況。
<写真02>地震により配管が断裂した状況。急遽、地面のモルタルをはつり、水漏れヶ所を特定して配管をやり替えました。
<写真03>地震により、コンクリート壁が損傷。
<写真04>地震により、コンクリートブロックが倒れました。
<写真05>肉厚が薄いのが「VU管」です。主に排水用に使います。
<写真06>肉厚が厚いのが「VP管」です。給水用に使います。
<写真07>耐衝撃性のある「HIVP管」です。ただのVP管より当然強いです。
<写真08>土に埋設するには最強の「VD管」です。内側から、塩ビ管 →鉄管→塩ビ被覆管と3層構造になっています。これなら見た目でも錆びそうにありません。
<写真09>埋設されている給水管を掘り出している状況。
<写真10>水道メーターから直ぐに地上に向かって配管している状況。これで土には一切触れないで配管ができます。