Feedback Sheet 「コンクリートのひび割れ 02」
現象
コンクリートの壁にひびが入る。
対策
● 「斜め筋」を確認する
コンクリート壁の、ひび割れヶ所のNo1が、サッシやドアなどの開口
部付近です。
コンクリート壁は、中に鉄筋が入っています。
コンクリートは圧縮力に強い一方、引っ張りや曲げ強度はとても弱い
のです。
その弱さを補うのが、鉄筋です。したがって、コンクリートのみのコン
クリートは存在しませんので、正式には「鉄筋コンクリート」と呼びます。
その重要な鉄筋ですが、開口部には必ず「斜め筋」を入れます。
写真02を見てください。
(某ゼネコンですと、斜め筋に加え、開口部隅にワイヤーメッシュ筋も
入れる仕様がある)
この斜め筋がとても重要で、私の経験値から言わせていただくと、
斜め筋が無いとほぼ確実に大なり小なり、ひび割れが発生します。
● コンクリートの打設計画を確認する
分かりやすく説明すると、弊社では夏場などのコンクリート工事では役所
に行って、現場近くのお祭りや、花火大会などの有無を確認します。
なぜならば、生コンを運んでくるミキサー車が渋滞にはまると、大変なこ
とになるからです。
最悪、生コンが運搬中に固まり始め、現場で強引に打設すると、ものす
ごいジャンカ(スカスカ状態のこと)になってしまいます。
悪質な施工者ですと、現場の前で、勝手にミキサー車の中に水を入れ
るバカ者もいます。
コンクリートは十分な強度を発生させるために、水とセメントの比率が
厳密に決められているので、勝手に水を入れることはあってはならな
いことなのです。
また、大型の現場によっては、生コンのミキサー車を5台分や10台分も
打設することがありますが、この1台目のミキサー車と、2台目ミキサー車
の打設時間の間隔が空いてしまうと、事態は深刻となります。
これは、「コールドジョイント」と言って、見苦しいラインが壁に発生してしま
います。
先に打設したコンクリートが固まってしまった場合、次の2台目のミキサー
車でコンクリートを流し込んでも、もう手遅れなのです。
そのジョイント部分を顕微鏡で見たら、パックリと分かれてしまっているの
です。
1台目と2台目の打設時間が空いてしまう原因は、車の渋滞以外に、現場
で上手く型枠の中に生コンクリートが入っていかず手間取ったり、思わぬ
トラブルがあったりと色々です。
私は、過去にポンプ車を2台配置して、生コン2台同時打設をおこなったこ
ともあります。
当然、施工費はかかりましたが、とてもスムーズな打設ができ、型枠を払し
た際、綺麗な満足のいくコンクリート壁を造ることができました。
上でご説明したことは、施主様ご本人が確認することは難しい事だと思います。したがって、しっかりとした施工店を選択することが重要です。ただ金額が安いからと言って施工店を決めるのは危険です。コンクリート工事はやり直しがきかず、またコンクリートを打設してしまえば、中の鉄筋などはもう見えません。特に、打ち放し仕上げの壁で、上記のようにトラブルがあったら、もう目もあてられませんね。
<写真01>鉄筋の配筋。タテとヨコに配筋します。
<写真02>開口部付近のひび割れ防止に有効な「斜め筋」です。
<写真03>型枠の状態です。
<写真04>型枠を外した状態です。
<写真05>これがジャンカと言う状態です。コンクリートがスカスカの状態。